高位脛骨骨切り術 -入院と手術と(その7)
膝専門の整形外科病院で、『高位脛骨骨切り術』の手術を受けることを決めました。
入院、手術、リハビリなど、病院での経過(その7)です。
今回は、手術後の夜、です。
手術(2020年5月下旬)
前回の続き、手術後の夜です。
夕方には飲食の許可もでて、妹が持ってきてくれた海苔巻きを食べました。
その頃はまだ下半身の麻酔が醒めていないのか、痛みもなかったので、食欲も普通にありました。
ただ徐々に足の感覚が戻ってくると、少しずつ痛みが出てきました。
夜8時頃には痛みが我慢できなくなり、看護師さんに背中に繋がっている管から痛み止めを注入してもらいました。痛み止めは少し冷たい感じがして、背中に入っていくのがわかります。
痛み止めが効かない場合は、点滴、注射、座薬を使うこともできるということです。
消灯時間になっても、背中からの痛み止めが効かず、眠ることができません。
点滴の痛み止めを使うことになりました。点滴でほんの少し楽になりましたが、やはり眠れません。
看護師さんは2時間おきくらいに様子をみにきてくれました。
痛みの感覚として、「今まで一番痛いのを10とすると、どのくらい痛いのか」と聞かれますが、難しい質問です。「一番痛い」のがどの程度なのか、人によって違います。
痛みの程度を聞かれて、私が「3」と答えたときは痛み止めを追加してもらえませんでした。私の「3」は何とかぎりぎり我慢できる痛みです。できれば、痛み止めが欲しかったのですが・・。
今後、痛み止めが欲しいときは「5」と答えよう、とそのとき思いました。
痛み止めは使用できる間隔があるので、数時間後に点滴の痛み止めを追加してもらいましたが、注射、座薬を使ったらもっと楽になったかもしれません。
そして手術後の痛みのストレスから、もともと弱かった胃にも影響が出てきました。
術後の痛みで眠れず、次第に胃も痛くなってきました。夕方に海苔巻きを食べて、胃に負担がかかったのかもしれません。プリンとか、ゼリーとか、軽いものにしておけば良かったかな・・。
加えて、足を高くして寝ているので、腰も痛くなってきました。
いろいろな痛みに耐える長い夜になりました。
高位脛骨骨切り術 -入院と手術と(その6)
膝専門の整形外科病院で、『高位脛骨骨切り術』の手術を受けることを決めました。
入院、手術、リハビリなど、病院での経過(その6)です。
今回は、手術日の様子、です。
手術(2020年5月下旬)
いよいよ手術日です。
6:00 起床、検温。
7:00 これから絶飲。
8:30 回診。
9:30 付き添いの妹が到着。
10:00 手術着に着替え、右足にだけ血栓予防の白いストッキングを履きます。
10:30 点滴開始。
11:30 手術室に向かいます。
シャワーキャップのような帽子をかぶり、点滴を押しながら手術室に歩いて行きます。
手術室に入る前に、名前と生年月日、手術部位を確認されます。
踏み台を使って手術台に上がり横になります。左右別々に乗せることのできるように、足の部分が二つに分かれている手術台です。
背中を丸めて麻酔をします。最初に痛み止めの注射を打ち、その後で下半身麻酔をします。上を向いた時には、すでに下半身がしびれたようになって感覚が薄れています。
看護師さんに「何か気になることはありますか」と聞かれ、「前髪が帽子からはみ出しているのが・・」とか変なことを言ってしまい、クスリと笑われたのを覚えています。
その後、全身麻酔のマスクをされてからは、手術室での記憶がありません。
手術時間は、関節鏡と骨切り術で約2時間の予定です。
14:00 たぶん病室に戻ったのがこの頃。全く記憶にありません。
16:00 麻酔から醒めたのがこの頃。
気が付くと、妹が横で椅子に座って本を読んでいました。
「全身麻酔のマスクをされてからは記憶がないんだよね~」と言うと、「その話をするのは3回目だよ」と言われました。4回目はなかったので、この時にはっきりと意識が戻ったのだと思います。
ただ、下半身は感覚がなく、痛みもありません。
病室に戻った私の身体には、いろいろな管が繋がっていました。
背中には痛み止めを入れる硬膜外麻酔の管が繋がり、手術した左膝には溜まった血液を外へ流し出す排液管(ドレーン)が繋がっています。そして、尿の管、左腕に点滴、膝の冷却装置、両足底にフットポンプです。
頭と腕以外は、動かしにくい状態です。
18:00 付き添いの妹が帰宅。
妹には感謝です。コロナウイルスの影響で面会禁止なので、次に会えるのは退院のときです。
高位脛骨骨切り術 -入院と手術と(その5)
膝専門の整形外科病院で、『高位脛骨骨切り術』の手術を受けることを決めました。
入院、手術、リハビリなど、病院での経過(その5)です。
今回は、いよいよ入院、です。
入院(2020年5月下旬)
手術日の前日午後に入院です。付き添いは妹に頼みました。
午後1時30分頃に受付をして、「フットポンプ」用の「フットカフ(足底用)」を購入しました。「フットポンプ」は、空気圧式のマッサージ器で、血栓予防のため手術後に使用します。両足分で16480円でした。
受付後、リハビリ室に移動です。
最初に現在のひざの状況などを問診票に記入しました。
その後、ひざが曲がる角度を測りました。体育座りをして膝をどのくらい曲げられるか確認するのですが、左足は踵と太ももの間で10センチくらい開きがありました。痛みがない右足はぴったりつきます。
次は、歩き方を確認します。5メートルくらいを往復し、時間を計測します。こちらは特に問題ありません。
最後に、手術後に使用する「松葉杖」と「車椅子」の使い方を教わります。
松葉杖を使うコツは、脇で支えるのではなく、肘を絞って腕で支え、ハの字になるように斜め前にだします。
松葉杖では、片足だけついて歩く方法と、両足をついて歩く方法を教わりました。
片足だけついて歩く方法は、良いほうの足と松葉杖を交互に前に出して歩きます。
両腕で体を支えるので、とても疲れます。
両足をついて歩く方法は、悪いほうの足と松葉杖を同時について歩きます。
片足だけついて歩くより楽で、バランスがとり易くなります。
車椅子は、手術後にトイレなど狭い場所も利用するので、その場で回転できるように練習しました。
また、乗り降りするときにはブレーキをかけて、足を乗せる板を上げるように、注意が必要です。
リハビリ室での説明が終わると、いよいよ病棟に移動です。今日は4名が入院します。
病室に入る前に、食堂で患者と付き添い全員一緒に、手術や入院中の説明がありました。
コロナウイルスの影響で面会は不可。洗濯物、着替え、差し入れなどの家族とのやり取りも、すべて看護士さんを仲介することになります。手術当日の付き添いも、麻酔から覚めたら帰っても良いということでした。
手術翌日は、食朝はベッドでとり、朝の回診後は車椅子での移動が可能になります。
なので、昼食からは食堂に移動します。そんなに早く動けるのか?驚きです。
手術は明日11時30分開始予定となりました。
説明が終わると患者は病室に移動、家族はいったん帰宅しました。
病室は4人部屋で、もうすでに3床がうまっていました。病室に入ると、さっそく採血と検温、血圧の測定などのチェックです。
そして、今日の21時以後は絶食です。
慣れないベッドで、落ち着かない夜になりました。
高位脛骨骨切り術 -入院と手術と(その4)
膝専門の整形外科病院で、『高位脛骨骨切り術』の手術を受けることを決めました。
入院、手術、リハビリなど、病院での経過(その4)です。
今回は、主治医からの手術の説明内容について、です。
主治医の説明(2020年5月中旬)
「主治医より手術についての説明があるので、本人と家族が一緒に来院するように」と言われても、独り身の場合はどうしたらよいのでしょうね。やはりこんな時に頼りになるのは兄弟姉妹でしょうか。
私は、妹と一緒に説明を受けました。
先生から、手術について詳しく説明していただきました。その内容です。
診断名:左変形性膝関節症、左膝内側半月版損傷
老化、怪我による変化などが原因で、関節が変形します。
症状は、痛みで歩くのがつらい状態です。レントゲン写真で見ると、関節軟骨がすり減っている状態です。
手術名:高位脛骨骨切り術、半月板切除術
骨切り術は、脛骨の骨切りをすることによってO脚をX脚にする手術です。
内側にかかっていた荷重を外側に移動させ、内側の負担を軽くします。
骨切りをしてできた隙間に人工骨を詰め込みます。骨折と同じなので、プレートで固定します。
プレートは1~2年で、手術で抜きます。
半月板切除術は、内視鏡で損傷した半月板の損傷部を切除します。
麻酔:全身麻酔、硬膜外麻酔
硬膜外麻酔は、腰にチューブを入れて、麻酔薬を注入します。
手術のリスク:血栓、感染、アレルギー
手術後は下肢をあまり動かさないため、血栓ができやすい状態になります。血栓の予防として、血栓防止用のストッキングを利用し、フットポンプで足底を刺激します。
手術後は、体力の低下により感染しやすい状態になります。感染予防として、抗生物質を使用します。
金属プレート、麻酔薬、痛み止め、化膿止めなどでアレルギー症状をおこすことがあります。麻酔や手術の際、神経を傷つける可能性があります。状況に応じて、適切な対応をします。
リハビリテーション:可動域訓練、筋力訓練、歩行訓練
可動域訓練は、器械に手術した足を乗せて膝の曲げ伸ばしをします。
入院:手術後4週間
1本杖で退院の予定です。重労働への復帰には、4カ月程度かかります。
手術の効果と限界
膝の痛みが軽くなります。手術後のリハビリが重要です。
またO脚になって痛みが強くなったときは、人工関節置換施術が必要になる場合があります。
どんな手術でもリスクは多少なりともあります。ちょっぴり不安です。
高位脛骨骨切り術 -入院と手術と(その3)
膝専門の整形外科病院で、『高位脛骨骨切り術』の手術を受けることを決めました。
入院、手術、リハビリなど、病院での経過(その3)です。
今回は、術前検査について、です。
術前検査(2020年4月)
4月下旬に、手術前の検査を受けました。
検査内容は、血液検査、尿検査、肺活量検査、心電図、胸部レントゲン、手術部位のレントゲン、MRIです。
検査結果で異常が見つかると、再検査や精密検査が必要になりますが、私は特に問題ありませんでした。
検査がすべて終わると、看護師さんから入院に関しての説明がありました。
入院の手続きに必要なもの
診察券、保健証、身元引受人書、同意書、限度額適用認定書、など
持ち物
洗面道具、着替え、内服中の薬、など
面会時間
コロナ感染予防のため面会は不可
手術後の付き添い
手術日の夜21時まで、家族のみ一名
会計
退院当日に会計窓口にて
その他注意事項
売店(自販機のみ)、病衣の貸し出し、など
入院中の生活
起床・消灯・入浴時間、洗濯機・乾燥機・冷蔵庫の使用について、など
麻酔について
麻酔の種類、薬物アレルギーの有無、歯や口内の状況について、など
高額医療限度額認定証について
自己負担限度額、申請方法、など
新型コロナウイルスの影響で、面会や付き添いに関してもルールが厳しくなっています。
手術日まであとひと月となり、思考がいろいろ巡って、なんとなく落ち着かない気持ちになってきました。手術への不安、痛みから解放される期待、入院準備の忙しさや、仕事のこと、新型コロナウイルス対策、などなど・・、頭の中がいっぱいいっぱいです。
高位脛骨骨切り術 -入院と手術と(その2)
膝専門の整形外科病院で、『高位脛骨骨切り術』の手術を受けることを決めました。
入院、手術、リハビリなど、病院での経過(その2)です。
今回は、手術前のアレルギー検査について、です。
アレルギー検査(2020年4月)
「高位脛骨骨切り術」は、骨を固定するのに金属プレートを使用します。
アレルギー体質の私は念のため金属アレルギー検査を受けることになり、皮膚科のある病院を紹介されました。
金属アレルギーは、皮膚に薬剤を貼り付ける「パッチテスト検査」をします。
この検査は一週間程度かかり、その間何回か病院に通わなくてはなりません。
初診で、パッチテスト検査の実施日を決めます。
パッチテストの実施日(2回目の受診)に、左右の二の腕の内側にそれぞれ8個、計16個の丸いパッチシートを貼り付けます。パッチシートの上には防水のためのシートを貼ります。
そして、検査した部位がわかるように、16個のパッチシートの横に油性マジックで印と番号を書きます。この印は、判定が終わるまでに消えそうになったら自分で書き直します。
実施日の2日後(3回目の受診)に、パッチシートを剥がして皮膚に変化がないか確認します。判定は、実施日の2日後、3日後(4回目の受診)、1週間後(5回目の受診)に行います。
私が受けた検査の試薬は16品目です。
①塩化アルミニウム②塩化コバルト③塩化第二スズ④塩化第二鉃
⑤塩化白金酸⑥塩化パラジウム⑦塩化マンガン⑧三塩化インジウム
⑨四塩化イリジウム⑩臭化銀⑪重クロム酸カリウム⑫硫酸ニッケル
検査が終わるまでは、なるべく汗をかかないように、濡らさないように、と注意されました。腕のマジック印で半袖は着らないし、この検査は暑い時期にはお勧めできません。
私の場合は、皮膚が赤くなって痒みが出た箇所もありましたが、先生の言うところ「判別がつきません」ということで、結果は③④⑥⑨⑬⑭が擬陽性でした。
歯科でよく使用される金属が擬陽性というのが気になりますが、まあ手術するには問題はないようです。
高位脛骨骨切り術 -入院と手術と(その1)
膝専門の整形外科病院で、『高位脛骨骨切り術』の手術を受けることを決めました。
入院、手術、リハビリなど、病院での経過(その1)です。
今回は、2020年3月下旬に、初めて膝専門の整形外科病院を受診した時のことです。
整形外科病院(2020年3月)
クリニックからの紹介で、3月下旬に膝専門の整形外科病院を受診しました。
紹介された病院は、膝関節疾患の手術を多数行っている専門の病院です。
患者さんは年配の方が多く混雑していました。有名な病院なので遠くから来ている方もいるようです。
コロナ渦の真っただ中ということもあり、手の消毒と検温を済ませてから、受付に向かいます。
受付では、受診理由などを記入し、クリニックからの紹介状とMRI検査結果の資料を一緒に渡しました。
初診では、レントゲン撮影後、詳しい説明を受けました。
レントゲン写真やMRI画像の結果、「左膝関節の内側の軟骨がすり減っていて、半月板も傷んでいる状態」ということでした。診断はやはり「変形性膝関節症」です。そして、手術について、簡単に説明がありました。
「変形性膝関節症」の手術は「関節鏡視下手術」「骨切り術」「人工膝関節置換術」があります。
・関節鏡視下手術
内視鏡で、損傷した半月板や軟骨の損傷部を切除する手術です。
4日程度で退院が可能です。
・高位脛骨骨切り術
脛骨を切開して人工骨を埋め込み、それを金属プレートで固定します。
骨の傾きをO脚からX脚に矯正するという手術です。
4週間程度の入院が必要です。
・人工膝関節置換術
変形した膝関節を人工関節に置き換える手術です。
骨セメントと呼ばれる接着剤を用いて人工関節を骨に固着します。
3週間程度の入院が必要です。
先生からは「関節鏡視下手術」、「高位脛骨骨切り術」の手術を提案されました。
現在の私の症状だと膝の外側は正常なので、「人工関節」までは必要ないということです。
手術は、「関節鏡視下手術」と「高位脛骨骨切り術」を同時に行うこともできるし、時間的に余裕がない場合は、「関節鏡視下手術」のみで、損傷した半月板の処置だけをすることもできるようです。ただ、膝の軟骨が改善することはないので、症状がすすめば他の手術が必要になるとの説明がありました。
「骨切り術」は自分の関節が残るので手術後の動きや運動に制限がないし、痛い思いはできるだけ1回で済ませたいので、私は「関節鏡視下手術」と「高位脛骨骨切り術」を同時に受けることにしました。
その日のうちに日程を確認して、手術日は5月下旬になりました。2か月先です。
それだけ手術を受ける患者さんが多いということに、改めて驚きました。