モンゴルの草原を走った2015年の夏(後編)
(前編からの続き)
3日目:マラソン大会
朝食を済ませ、ほかのツアー団体と一緒に大会事務局の用意したバスで会場へ向かいます。
移動中、「距離別に色分けしたいので、ナンバーカードの番号の周りを囲ってください」とマーカーを渡されました。計測する人が見分けやすいようにするためだそうです。また、「時間通りにいかなことが多々ありますが、彼らなりに一生懸命やっています。」というアナウンスが何度もありました。これもモンゴル流らしい。
1時間半ほどで会場に到着です。バスから降りる前に、外の景色を見ながらコースの説明がありました。
「10kmとハーフは、あそこからあの辺まで行って1週回り、ハーフはそれを2周します。赤い旗と青い旗がありますので・・・。」
広すぎて説明されても良く分かりません。とりあえず前の人に離されないようについていくしかありません。
説明が終わってバスを降りたとたん、風が香っているのを感じました。草原の香りです。何かハーブのような香りがしました。そして、一面の青い空です。近くには小高い丘、そして遠くにも丘が見えます。モンゴルの移動式住居のゲルもあります。
これからこのモンゴルの草原を走るのかと思うと、心の奥底からしだいに気持ちが昂ってきます。
そして、ジージーという音がします。音??電気のような機械音に似ています。移動しても後をついてくるかのように近くでずっとその音が鳴っています。しばらくは何の音かわかりませんでした。
突然、目の前で小石のようなものが飛んでいきました。良く見ると小石と思ったものは、3~4センチもあるバッタでした。ジージーという音はどうもそのバッタが鳴いている音のようです。
嬉しいことに、おにぎりと焼きそばの入ったお弁当が大会主催者から提供されました。ハーフのスタートは12時の予定なので、お弁当はゴール後にいただくことにして、日本から持ってきたエネルギージェルを飲み込んで、準備をします。
スタートするころには気温が上がり25度は超えていたのではないでしょうか。給水は1か所のみと聞いていたので、ペットボトルをウエストバッグに入れてスタート地点に並びます。10kmとハーフが同時にスタートしました。スタート直後は軽い登りでしたが、標高が1500mともなると日本で走っているようにはいきません。無理をしないように走ります。
1週目も終盤の8~9キロ地点で給水がありました。現地のスタッフがひとり、手を振って迎えてくれます。ウエストバッグの水も少し残っていましたが、とにかく暑いので、ペットボトルを1本もらって、手に持って走ります。
スタート地点に近づくにつて、声援が聞こえてきました。その応援に励まされながら、2周目に突入です。10キロのランナーはここでゴールです。
急に目の前のランナーが少なくなりました、そしてなんとかはぐれない様に前の人についていきたいところですが・・。
気付くと前には誰もいません。かろうじて草がなくなって道のように見える上を走っていきます。遠くの丘まで草原が続き、まったく距離感がつかめません。
ようやく丘を越えると、前に一人のランナーがいるのが見えました。次第に距離が縮まり近づいてきます。そのランナーは歩いていました。地元のモンゴル人で、どうも暑さでまいっているようです。水も持っていません。わたしが手に持っていたペットボトルを差し出すと、嬉しそうにして受け取ってくれました。私も彼のおかげでコースから外れていないことがわかって、これでコースアウトの心配がなくなりました。
その後も、美しい景色に見惚れてはぐれてしまいそうな場面も何度かありましたが、モンゴルの雄大な景色と風薫る草原を満喫して、最後は充実感いっぱいでゴールのゲートをくぐりぬけました。
マラソン終了後は表彰式があり、優勝者には馬が1頭贈呈されました。
その後は、打ち上げパーティに参加して、大会事務局の用意したバスでホテルへ戻りました。
4日目:帰国
帰国の日は風の強い朝となりました。夜に雨が降ったらしく路面が濡れています。
早朝、ワゴン車でガイドさんと一緒にチンギスハーン国際空港へ向かいました。ガイドさんとは空港でお別れです。ガイドさんにはいろいろとお世話になり、短い間のお付き合いでしたが、お別れはいつも切ない思いがします。
車の中でガイドさんから配られた朝食のお弁当を、空港のロビーでいただきました。
帰りの便も、MIATモンゴル航空です。出国審査を終えてほどなく日本へ向かう予定でしたが、強風のため足止めとなりました。すべての便が足止めになり、空港内はかなり混雑していました。出国審査を終えているので、おとなしく待つしかありません。私は残った紙幣で買い物をしたり、カフェで飲み物を飲んだりして時間をつぶしていました。
結局4時間ほど遅れての出発となり、成田空港到着14時頃の予定が、着いたのは夕方となりました。
思うこと
モンゴルの草原は雄大で、当時縮こまっていた私の気持ちを前向きにしてくれました。
何万人も参加する有名なマラソン大会は興奮と感動がいっぱいですが、「モンゴル国際草原マラソン大会」のようなちょっと変わった大会はいろんな意味で良い刺激になります。
今はコロナ渦の中で、海外旅行に行くことも難しくなっています。
私は膝の手術をしていまだ走ることができない状態ですが、すべての事態が好転して海外に行くことができるようになったときは、再び海外マラソンに挑戦したいと思っています。
http://mongolia-marathon.org/index.html